自分を見失う
阿ちゃん、
車を運転していて、気づいたよ。
吽くん、どんなこと?
僕の車は、古いし、
グレードが高いわけじゃない。
大切に乗ってるんだね。
この間、狭い道で、外車とすれ違う時に、
僕は、相手が通りやすいようにと、
広い所までバックした。
そしたら、外車の運転手は、
まだ通りづらいのか、今度は「もう少し前に来いよ」
みたいな、手振りをするんだ。
ちょっと気分が悪いけど、従った。
嫌な感じがしたんだね。
そして、ふと思った。
「もし僕の車が、その外車より立派だったら、
どうだったんだろう」ってね。
相手がバックしたかもって?
そこまでは思わないけど、
そんなに、偉そうな態度、
とらなかったんじゃないかって。
こっちが、フェラーリなら、
してこないだろうね~
それと同じことを、自分もやってるって、
気づいたんだよ。
どうゆうこと?
あのね、服だよ。
えっ、服?
吽くん、服着てたっけ。
あのね~、僕はこう見えて、服にはうるさいんだよ。
身だしなみっていうか、服って大切だと思うんだ。
服装が綺麗な人は、普通より立派な気がするし、
実際、偉いと言われる人は、
綺麗な服装をしてる、って思うんだ。
泥棒だって、最近はスーツ着て、
小ぎれいにしてるらしいけど…
自分が、所有物で判断されてる。
それが嫌だな~と思った。
僕の車、僕の服は、僕自身じゃない。
でも本当は…
自分が、人を判断する時に、
外の装飾で、判断していたんだ。
相手に想うことは、自分のことね。
その人の、外側を見てた。
装飾で判断するのは、もうやめます。
私はね、吽くんの服を、
いつも「高そう~」って、見てた。
私の服は、「安っぽく見えないか」で、選んでた。
たぶん、安っぽく見られたくなかったんだ。
人の目を気にするのは、卒業します。
高そう、安っぽいの、相対的な二極は
十分に経験したので、手放します。
もう自分を、
見失わないよ。
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